レオノーラ・アルメリーニのコンチェルトのリハーサル時に審査員席より舞台を撮影
「リストコンクール」という名称の国際ピアノコンクールは世界にいくつかありますが、オランダのユトレヒトで開催される当コンクールは、1986年(リスト没後100年)に、「リスト・ユトレヒト」という名称に変更され、現在に至ります。
今回は新たな形式をとり、出場するピアニストの現時点での実力を競うというより、プロフェッショナルに磨きをかける側面が強いプログラムになっています。予選で選び抜かれたピアニスト達は一年近くをかけ、マスタークラスや音楽祭への参加を通じて彼らの音楽性を世界中の聴衆に披露しながら成長の機会を提供されます。
第13回リスト国際ピアノコンクール・ユトレヒトは、5段階のプロセスを経て行われています。
- 第1次審査は、オンラインによるビデオ審査で、40名が選出されました。
- 第2次審査(2022年1月6日-9日開催済み)は、ユトレヒトの会場で各自40分のリサイタルを行いました(YouTube公式チャンネルで2次審査の演奏を視聴できます)。ここでは、最終的に出場した35名から10名が選出され、本年9月のセミファイナルの審査に進みます。
なお、当ラウンドの演奏は全てファツィオリF278で演奏されました。
セミファイナル進出者10名(氏名・国籍・誕生年): - 黒木雪音 日本 1998年
- Viktoria Baskakova ロシア1997年
- Minkyu Kim 韓国1995年
- Tamta Magradze ジョージア1995年
- Matyáš Novák チェコ共和国 1998年
- Yeon-Min Park 韓国1990年
- Leonardo Pierdomenico イタリア1992年
- Vitaly Starikov ロシア1995年
- Derek Wang アメリカ1998年
- Kajeng Wong 香港 1990年
- 第3段階として、セミファイナリストは、コンクール主催の「アカデミー」(6/27-29)に参加し、リストに精通した演奏家の指導を受けます。
- セミファイナル(9/22-26)となる第4段階は音楽祭として行われ、各自4回の演奏機会が提供されます。
- リストのオリジナル作品のソロリサイタル (45-50分)
- リスト編曲によるシューベルト歌曲 (55-60分)
- リストおよびシューベルトの室内楽作品、各一曲(6ヶ月以上事前に各出場者に作品が割り当てられる)
- リスト及びシューベルトの歌曲とMathilde Wantenaar(マティルデ・ワンテナール)作曲の委託課題曲 (20分)
- ファイナルラウンド (9/29)には、10名のセミファイナリストから3名のファイナリストが選ばれ、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団と課題曲「リスト編曲ピアノと管弦楽版シューベルトのさすらい人幻想曲」を協演します。そして、優勝者と第2位、3位が発表されます。
セミファイナルラウンド以降は複数メーカーのピアノから選定できる予定ですが、第2次審査はファツィオリピアノ一台のみが提供されました。
ここでは便宜上コンクールの名称を使用しましたが、実際は、タイトルから「Competition」という単語は外され、「Liszt Utrecht」が正式名称となっているほどピアニスト育成に重きを置いた内容となっています。出場者には出演料などが支払われるなど、様々な面で他のコンクールとは異なっています。
詳細に関してご興味がある方は、公式サイトの説明動画をご覧ください。
Liszt Utrecht 2022 (YouTube 英語)