表現の可能性の広さに愕然

お客様: 飯坂 健 及び 劉悅

ファツィオリ社の設立から間もない頃からずっと気になっていたピアノ。当時新聞記事で読んだ、世界のピアニストから絶賛された幻のピアノとはどんな音なのであろうと夢を見ていた。

そして近年になってやっと触れることができた何台かの小型と中型モデル。小型でも非常に高いレベルで仕上がっているとの印象。当時所有していた某社のセミコンは非常に気に入っていたものではあったが、同じモデルでも個体差が激しく、気に入ったものとの出会いはほぼ奇跡的ではあった。

ファツィオリのフルコンに初めて触れたのは去年。これは衝撃的な出会いであった。音量の幅だけでなく、表現の可能性の広さには愕然とした。よく伸びる音は一つ一つ輪郭が明瞭であり、複雑なパッセージでも音が汚れることがない。

しかし非常にデリケートで超敏感なレスポンス故に、頭を集中させて、時間をかけながら弾かなくてはいけないと直感。全身から力を抜き、語るように弾けば非常に美しい声で歌い出すのには感動した。多少雑に弾いてもある程度それなりの音になる多くのピアノとは違い、心の状態がそのまま反映される。その分自由度が高くなる反面、自分の心を澄まし、技術に更に磨きかけなくてはいけないことを自覚した。

それから何台かのFazioliのフルコンに触れる機会があった。それぞれ個性を持った楽器ではあったが、全て表現域の広い楽器であり、非常に高いレベルの仕上げであった。某有名メーカーでも「当たり」は少ない。ファツィオリの「打率」はおそらくトップであろう。

音楽と人生の連弾パートナーと一緒に悩み抜いた結果、フルコンを入れることに。候補は何台かあったが最終的には最大モデルのF308に。音の深みだけでなく、表現の可能性がほぼ無限にある。連弾曲の演奏にあたっては各々交差するパートが独立した楽器のごとく歌わせることができるのが鍵であった。人生そのものもそのように歌うことができれば良いのに。

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