6月のショパンコンクールのピアノの選定と調整に引き続き、再びイタリア・サチーレにあるファツィオリ工場を訪れました。というのも突然パオロ・ファツィオリからの電話で「とにかく凄いピアノが完成したから来てくれ!」との事。スケジュール調整をして8月29日から4日間の予定でイタリアに向かいました。翌日の朝7時30分に工場に到着し、"とにかく凄いピアノ"と対面しました。なるほど、なるほど、パオロの言った意味の分かるそんな楽器でした。とにかく仕事を始めなければ、限られた日程の中で仕上げるには時間的に余裕はありません。ファツィオリ工場は朝7時30分から12時、それから1時間半のお昼休みを挟み13時30分から17時まで工場の職人が仕事をしています。35人の職人は黙々と各々の仕事に打ち込み、誰一人として遊んでいる人やお喋りする人も見当たりません。イタリア人というと不真面目なイメージを持つ人も少なくありませんが、サチーレのあるイタリア北部の人たちは、非常に真面目で仕事に対する姿勢も学ぶところが沢山あります。
そんな人たちの中で負けじと黙々と仕事をする日本人唯一人ですが、とても心地よい雰囲気の中で、素晴らしい楽器との対話を楽しむ時間が始まりました。
(つづく・・・)
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