イタリアのウンブリア州で7月23日より第16回トラジメノ音楽祭が開催されました。昨年は設立以来初めて開催が出来ない年でしたが、しばらくイタリアのコロナの状況が落ち着いていたのを機に、6月に急遽プログラムを組んで開催を決定したのはさすが、アンジェラならでは。ファツィオリジャパンからもスタッフを送ることが出来ました。
以下現地報告ですが、今年は参加できる人が非常に少なかったこともあり、各セッションのビデオ配信が決定されました。まるで現地に居るような臨場感満載のビデオコンサートです。公式サイトからご覧いただけます。
4日間のミニバージョンとはいえ、例年のパターンを踏襲し、毎日異なるウンブリア地方の5つの中世の教会にファツィオリピアノを持ち込んでのコンサートでした。今年もアメリカなど海外からのコアのファンの顔もあり、皆で予期せぬ再会を喜び合いました。素晴らしい教会の絵画やフレスコ画の清廉な雰囲気の中、教会の暖かく柔らかな音響は格別です。
初日は、ペルージアの サン・フランチェス・ディ・ノヴェリ教会
。
アンジェラのオールバッハからなるプログラムは、このバロック教会に相応しいものでした。2020年のバッハオデッセイの最後を飾るはずであった、レコード・アカデミー賞を受賞した「フーガの技法」からも4曲を披露。
2日目は、ペルージアの サンピエトロ大聖堂
で室内楽の名作が繰り広げられました。
最後は、ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81で華々しく終了。
大聖堂のオルガンでバッハのプレリュード&フーガロ短調の荘厳な音楽で始まったこのコンサートは、その後、モーツアルト、ベートーベン、ドヴォルザーク、シューベルトなどの作曲家を代表する曲の即興の旅に展開して行きます。オルガンの音色が、優しいピアニッシモから怒涛のフォルテまで、ここまで多様に響くとは。時にはルッツの素晴らしいテノールも交えて、ユーモアたっぷりに。
夜は、ペルージアから約一時間のTrevi市のサン・フランチェスコ教会でアンジェラとルディーがバッハの即興で協演。テーマは「調性」。一台のFazioliでアンジェラが平均律やゴルトベルク変奏曲などから、特定の与えられた調整のイメージでバッハを選曲。それに対し、ルッツがアンジェラや聴衆から与えられた別の調性で違ったものに即興していく。ジャズあり、ラフマニノフ調ありのノリノリの演奏に観客は大喜び。Fazioli を初めて弾くルディーも、「初めて弾いたけど、やりたいことが全て可能なピアノだった。ダイナミックレンジが凄い。恐らくこれはバッハの曲だけのことではないでしょう?」と尋ねて来ました。彼はピアニストとしても素晴らしいです。
フィナーレは、教会のオルガン弾きであったアンジェラの父親が、ピアノ連弾のために編曲したトッカータ&フーガニ短調を二人で演奏。三人の個性ある演奏家の素晴らしい音楽性と才能、バッハへの愛情と献身に思いを馳せる演奏でした。最終日は、オペラの日でSpoleto市の カイオ・メリッサ劇場
。運ばれて来たFazioliをステージに持ち上げることができないというハプニングに見舞われ、急遽劇場のピアノが使用されました。その夜は、歌手とアンジェラのダブル・バースディ―を祝ったレセプションもあり、アンジェラはフェスティバルを遂行できた喜び、長年のファンに囲まれて誕生日を祝える喜びに輝いていました。皆様も是非、公式サイトからコンサートをご視聴ください。弊社も、再びトラジメノ音楽祭+ファツィオリ工場+イタリア・グルメツアーが企画できる日が近いことを祈っております。
2022年の第17回トラジメノ音楽祭は、6月末からの一週間が予定されています。コロナ禍で2020年から来日出来ていないアンジェラとルディーですが、アンジェラは2022年5月に日本でバッハオデッセイを締めくくる予定です。ルディーの再来日も2022年に予定されているとのこと。ぜひご期待ください。ファツィオリジャパン株式会社スタッフ現地取材