ルビンシュタイン・コンクール(7) 作曲家と演奏家の出会い

このコンクールのプログラムはとても自由度が高いですが、コンクールの為に書かれた曲も二つから選ぶことができます。その一つ Subconscious Labyrinths を書いた Benjamin Yusupov が、第一ラウンドでFAZIOLIで弾いた韓国の Jae-Weon Huh の演奏をとても高く評価してくれたので、お二人との会談を設定しました。
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コンクール曲ということで、作曲に特別な考慮が有ったか聞いてみました。
・若いピアニストのために、新しい発想の曲を
・審査員が同じ曲を立て続けに聴かなければならないので、それに耐えられる奇麗な曲
・暗譜が条件なので、暗譜しやすく困難過ぎないこと、しかしピアニストの限りない能力が発揮できる、virtuostic なものということでした。
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この曲は ロマンチックな音楽家の心の中に湧き起こる様々な気持ち、不安、期待、迷い、突然の思いがけない様々な心のさまよいを音楽で表現したもの。シンコペーショ ン的な付点、複雑なリズムは思いがけなさ、移ろいを表すため。人間の心はシメトリックではない。低音から高音への幅広いレンジのいきなりの飛躍、難易なリ ズムからルバートへ、フォルテッシモからロマンティックなキラキラしたピアニッシモ、山あり、谷ありの大変そうな曲でしたがとてもきれいでした。

Benjamin Yusupovから、FAZIOLIで弾かれた演奏が一番良かったとお褒めの言葉を頂きました。Jae-Weonの演奏は一番お気に入りで、録音することがあれば必ず送って欲しいといわれ、Jae-Weonも大感激!
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さらに、今二台のピアノの為のソナタを作曲中で、完成の暁には一番最初にあなたに弾いて欲しいとのプロポーズ!思わず大作曲家と手を取り合う場面がありました。

1990年にロシアから移民し、作曲家、指揮者として世界的に活躍しているBenjamin Yusupov 氏。人間的にもとても素晴らしく、温かい人だと思いました。


(Jae-WeonのSubconscious Labyrinthsの演奏を以下でご覧下さい。YouTubeが自動的に曲の直前に始まります。)


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ルビンシュタイン・コンクール(6) セミファイナル通過者の結果発表

今日は第二ラウンドの最終日、16:30からセミファイナル通過者の結果発表がありました。

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今年からジュニア審査員制度が導入され、まず最初に、17歳から19歳の7人の音楽学校の学生により選ばれた、7人の名前が発表されました。その中には、 FAZIOLIで素晴らしいダイナミックな独自の音楽で聴衆を湧かせたJi-Yong Kim と、美しい音色を奏で、皆をうっとりさせた工藤奈帆美さんの名前もありました。日本人の中では尾崎美空さんも入っていました。

でも、当確のはずのMaria Mazo の名前がなく、何かおかしいなと思っていると、続いて、審査員の結果発表が通過しなかった人から順番にありました。ルールではジュニア審査員と本審査員の 意見が食い違った時は、本審査員の意見が採用されます。(当然でしょう)。結果は6人中3人のみ一致。その三人とはBaryshevskyi Antonii, Colafelice Leonardo, Cho Seong-Jin でした。残りの三人はLin Steven,
Osokins Andrejs, Mazo Maria.

複雑過ぎて、何が起きているか良く分からない人も。皆の感想は、このプロセスにどういう意味が有るの?!
これで、Fazioliを選んだ人の中では、Maria Mazoさんのみがファイナルに進出することになりましたが、Ji -Yongと奈帆美さんという素晴らしいピアニスト達と過ごした一週間、本当にピアノメーカー冥利につきました。有難う。今後のご活躍をお祈りしておりま す。


ルビンシュタイン・コンクール(5) ステージマネージャ Ilanさん

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Ilanはこのコンクールのステージマネージャーです。ピアノの選定の立会いから始まり、舞台の全ての重要な進行役をコンクール期間中一人で務める、とてもタフな役割です。20数年イスラエルシンフォニーのステージマネジメントを務めたあと、今は引退し、三年に一度のこのコンクールの仕事のみをしているとか。経験豊富なのでとても助かります。
Fazioli を選んだ人は何故か全員最終の二日に集中し、 S F F S の ようなピアノの入れ替えを休憩時間なしに、素早くやり遂げなければなりません。

この写真はそのリハーサルをしているところです。

ルビンシュタイン・コンクール(4) 練習風景a la テル・アビブ

このコンクールでは基本的に、グランドピアノによる公式練習時間が確保されていません。
その代わり、ホテルの各自の部屋にアップライトピアノが与えられ、朝9:00から夜の9:00までお昼寝(?)の14:00から16:00の間を除き、10時間練習できます。しかし相部屋なので、ルームメイトとのシェアです。
しかもピアノは古く、キーも飛んでいたり、一日10時間の激しい演奏の後にはピアノの音も悲惨になってきます。隣接の部屋から聞こえてくる互いの音に邪魔されて、自分の音が聞こえない。その上それをかき消すような、ホテルの非常階段の工事中の激しいドリルの音。
そこで、弊社ではFazioliを弾かれる方の為に、Fazioliでの毎日の練習場所を確保すべく、奔走しました。現地ディーラーのショールームは工事中で、Fazioli は設置されておらず・・・・・・・・・・呑気なお国柄です。

ここはイスラエル国営教育テレビのArie Vardi 教授の "Intermezzo with Arik"シリーズ の収録スタジオです。ここにFazioliのF212が持ち込まれ、定期的に収録されます。
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ここは、民間録音スタジオです。F183が落ち着いた木のフロアリングと壁に囲まれた一室に置かれ、心地良い空間です。
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ここは民間のお宅のリビングです。大きな家にプールのある美しい庭。優しく寛大なホスト。このF212のピアノはルビンシュタイン・コンクールの初代調律師が10数年前にSacile工場で選定したとか。かなり初期のピアノですが、とても良いピアノです。
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今週はこの3箇所を駆使し、毎日一人当たり3-5時間の練習時間を確保することができました。Fazioliを弾かれる方々は第一ラウンド最後の二日に集中しているので、かなり長い助走時間となりました。

でも、皆様の優しさに支えられ、緊張もほぐれて来ているようです。いよいよ、日曜日から出場します。お楽しみに。

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