ショパンコンクールへの道 (10)

1次審査発表の翌日、コンクールはお休みですが各メーカーの調律師は休むことは出来ません。メーカーごとに時間が割り振られ、各々ピアノに向かいます。1次審査のピアノを弾いた感想をそれぞれ4人から聞き、ピアノの調整の方向性を検討します。リクエストもタッチが軽いのを好む人や重いのを好む人、音色に至ってはピアニシモはそのままにもっとパワーを欲しいなどそれぞれでした。幸い4人の審査日が分かれたため、それぞれのリクエストを加味しながら調整することが出来ましたが、参加者にとっては調整後のピアノを事前に試弾する事も出来ず、ぶっつけ本番という状況の中での演奏です。客席から見守る私も演奏開始後の表情や音、終了後に聞いたリクエストを踏まえ、次の審査の為に調整を再検討します。
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こうして5日間に及ぶ2次審査も終わり、直後の21時から23時45分が私に与えられた作業時間でした。その間に2次審査の発表があった為、1次に続き2次の審査発表にも立ち会うことは出来ませんでした。ポーランド人の技術者が作業中の私に結果を伝えにきてくれましたが、4人全員を3次へと後押しする事が出来ませんでした。とても残念でしたが、堂々たる素晴らしい演奏は今でも私の記憶に残っております。

つづく・・・

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