コンクールの途中でピアノを変更するのは、簡単な決定ではないでしょう。
ピアノ全般に関するホットなネットニュース「 ピアノの惑星ジャーナル
にファイナリストのインタビューが掲載されています。 管理人の高坂はる香さんの許可を得て、その中からFazioli変更の理由と感想を以下抜粋させていただきました。Fazioli チームに語ったより、本音がでているかも・・・・・
◇バリシェフスキーさん ( 第1位)
─ファイナルでピアノをファツィオリに変えた理由は?
理由はこのホールです。ピアノ選びの時は、スタインウェイが心地よかったのでそちらを選びました。そこから最初の3ステージはもっと小さい場所でしたし、そ こで弾いていたレパートリーにはスタインウェイが合っていました。でもこちらの広いホールでは、スタインウェイのソフトな音だと充分でありませんでした。 ロマンティックな作品だったらよかったかもしれませんが、プロコフィエフにはもっと音量、そしてブライトな音が必要でした。このファツィオリはとてもリッ チな音を持っていて、これなら自分のアイデアが再現できると思ったので。
─ファツィオリの音の印象はどのような感じでしたか?
高音部のオクターヴを弾いたときのヴォイスがとても好きなんですよね。とても輝かしい音を持っています。これこそが、僕がプロコフィエフに必要だと思ったものです。◇スティーヴン・リンさん (第2位)
─最後のステージでピアノをファツィオリに変えたのはどうしてですか?
ア ントニ(・バリシェフスキ)がスタインウェイを弾いているオーケストラリハーサルを少し聴いて、彼のような大きい男が弾いているのに音が良く聴こえない、 これは良くないなと思って変えることにしました。多分他のピアニストにとってもそれが問題だったんだと思います。後ろ半分の席に音が聴こえないというの は、問題でしょ。
─ファツィオリの音の印象は?
とてもブリリアントで、大きなホールであのピアノを演奏するのは、実はすごく楽しかったです。
◇チョ・ソンジンさん (第3位)
─ファツィオリにピアノを変更したのはなぜですか?
古典派協奏曲の時、音がクリアでなく2階では聴こえにくかった、同じ曲をファツィオリで弾いたマゾさんの演奏は聴こえたという意見を聞いたんです。最初はそういう話は気にしていませんでした。他の人たちもスタインウェイを弾いていたから条件は同じです。でもインターネットで最終ステージ初日の3人が全員ファ ツィオリに変えているのを聴いて、びっくりして。リスクを取るべきでない、僕も同じ状況で演奏しておいたほうが良いと思ったんです。でも、正直言ってどんな楽器かということは大きな問題ではないんです。これまで数々の大変なピアノで演奏をしてきていました。もちろん、ピアノが良い音であることは重要なんですけど、弾きやすいかどうかは実は僕にとってあまり関係ないんです。
─音の特徴どう感じましたか?
とてもクリアな音でした。このホールは音響が良くないので、スタインウェイだと音が分散してしまう感じがしました。ファツィオリの音は密度が濃くまっすぐに届く感じがしたんです。以前、初めてファツィオリを弾いたときに、すごく自分に合うと思いました。でもおもしろいもので、私の友人のピアニストが演奏してみたときは、何かしっくりこないしうまく扱えないと言っていましたね。
今回も2台のピアノを試してみて、ファツィオリは私のためのピアノだと思うほどぴったりときたので、選びました。
◇コラフェリーチェさん( ファイナリスト賞)
─ファイナルのラフマニノフではピアノをファツィオリに変更しましたが、その理由は?
スタインウェイ、ファツィオリ、どちらも素晴らしいピアノでしたが、このタイプのホールでラフマニノフを演奏するならファツィオリがいいと思いました。
室内楽と古典派協奏曲で弾いたベートーヴェンのようなスタイルの作品では、しっかりと構造が組み立てられている感じのするスタインウェイの音がとても合いました。
一方、ラフマニノフはまったく別の世界を持っている作品です。ファツィオリはピアノが軽く、音も豊かで、ラフマニノフを弾くにはぴったりでした。弾いていてとても心地よかったです。
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