岡部先生は2012年2月24日、94歳のお誕生日の日に初めてご来社されました。音楽家としての活動を戦時中も途切れることなく行われていました・・・70年ほど前のことです!
(1943年の録音、「大東亜共栄唱歌」より)
戦後、岡部先生は政府給付留学の初の留学生としてイタリアに渡り、ヴェネツィアで声楽を勉強。帰国後、東京芸術大学で数十年に渡り日本における西洋歌曲の教育に人生を捧げられました。イタリア留学によりイタリアのベルカントを学ばれましたが、弊社への最初のご来社時にはイタリアのピアノを聴くのは初めてのこと。「私は残された人生を、この音と共に暮らしたい」と仰って、ご自分のスタジオ(当時まだ教えていらっしゃいました!)での使用のためファツィオリを即決されました。ご自身のピアノを選定する為に、岡部先生は我々と一緒にイタリアに行かれました!ピアノ選定はもちろんですが、第二の故郷でもあるヴェネツィアも訪れました。
ヴェネツィアでの音楽学校の同級生に再会し、笑顔が止まらず。
もちろんイタリア語も話せますので、パオロ・ファツィオリとの出会いも楽しいものでした。
先生のピアノを選定した後、選定室の隣にあるコンサートホールに選んだピアノを移動して、楽しいコンサートが始まりました。岡部先生も歌われました!
94歳で初めてファツィオリピアノをご購入されるお客様は稀です。その後も、時々弊社のイベントにもご参加頂きました。いつも明るい笑顔を絶やされず、皆をやさしく見守るお姿には、我々もいつも元気を頂きました。
(帝国ホテルのロビーコンサート、野原広子氏と)
10月15日に我々の大好きな岡部多喜子先生は、101歳で旅立たれました。先生、有難うございました。心よりご冥福をお祈りいたします。