ショパンコンクールへの道 (4)

滞在も4日目の夕方、2台の調整も終了しいよいよ選定となりました。今回調整をした2台と前回6月に調整した2台の合計4台からの選定です。パオロ曰く「ファイナル・セレクション」という掛け声で、ホールにはパオロとヘッドテクニシャンのクラウディオ、テクニシャンのトーマスと私の4人が集まりました。ピアノの選定は今まで数多く経験しましたが、パオロの選定の方法はやはり特別でした。88鍵をパートごとに分け、更に細分化したパートごとの優劣を順位として記録します。この様な方法で行うと自ずと1番を占める楽器が決まってきます。その後各ピアノを演奏し音楽的な観点からも楽器を判断します。現在までの30年間、ピアノが完成する度にこの様な方法で楽器を判断してきたのでしょう。それはそれは真剣な雰囲気の中、選定作業が行われました。結果はやはり最後に調整したピアノが4人の意見として一致しました。ワルシャワへはこのピアノを持ち込んで、コンクールに臨むことに決まり、
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今回のイタリアでの仕事は全て終了しました。帰り際に工場の人々と挨拶を交わしましたが、「また来週来なくてはいけなくなるかもよ」との意味深な言葉。またまたパオロがサプライズを起こしてくれるとは、この時は気付くはずもありませんでした。

(つづく・・・)

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